日本のアイヒマン実験
現在では倫理的な問題から禁止されている有名な心理学の実験がある。そのひとつに,「アイヒマン実験」と呼ばれるものがある。これは,権威者を前にすると人間が服従するというものだ。ナチスの役人であった「アイヒマン」から名前が来ている。
その詳しい内容に関しては面倒なので割愛するが,結果だけ述べるとこうだ。
人間は自分が思っている以上に盲目的になりやすく,簡単にマインドコントロールされて,権威の前に服従・屈服してしまった。そして,少し考えればわかるようなことも考えられなかった。
ということだ。電気ショックを初対面の人に与えるように権威者から命じられるのだが,最高出力の450Vまで半数以上の人がスイッチを入れたというのだから恐ろしい。
というか,450Vがどんなものなのか想像もつかないが…。
とはいえ,これは何もナチスという過去のものだ,というわけではない。時事に疎いせいか,最近ではあまり耳にしなくなった日大のタックル事件だが,話を聞く限りでは,アイヒマン実験やナチスとさほど変わらない。
権威は至るところにある。その最たる例が科学ではないか。私は科学を否定する気もないし,科学の恩恵を預かりながら生きている。でも,科学が無意識的に権威づいていることを忘れてはならない。